骸骨館
海野十三

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)廃工場《はいこうじよう》

|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)骸骨|志願《しがん》だ。
−−

   廃工場《はいこうじよう》の町


 少年たちは、遊び方に困っていたし、また遊ぶ場所もなかった。
 家と道のほかは、どこも青々とした家庭菜園《かていさいえん》であった。道さえも、その両側がかなり幅《はば》をとって菜園になっており、その道を子供が歩くときでも、両側からお化《ば》けのように葉をたれている玉蜀黍《とうもろこし》や高梁《こうりゃん》をかきわけて行かねばならなかった。
 そういうところを利用して、少年たちはかくれん坊のあそびを考えついたこともあったけれど、それは親たちからすぐさまとめられてしまった。せっかく作った野菜が少年たちによってあらされては困るからだった。
「つまらないなあ」
「なんかおもしろいことをして遊びたいね」
「ベースボールをしたいんだけれど、グラウンドになるような広いところがどこにもないね。つまらないなあ」
 清《きよし》君、一郎君、良《りょう》ちゃん、鉄《て
次へ
全17ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング