ンの食いかけが散らばっているよ」
 ブウちゃんが妙な発見をした。
「乾パン。あ、ほんとうだ。誰が持って来たの」
「ぼくたちじゃないよ。誰かほかのものだよ。でも、へんだね。誰かこんなところへ来たんだろうか」
 なんだか気味のわるいことだった。
 だがそのことは、骸骨館探検がはじまったので、そのまま忘れられた。
 二番目の探検隊員としてトシ子ちゃんが入って来て、鉦《かね》を鳴らしたときのことだったが、思いがけないことが館内でおこった。それはトシ子ちゃんと鬼火がおどる舞台とのちょうど中間《ちゅうかん》の草むらの中から、とつぜんぱっと明かるい光がさして天井を照らした。思いがけない光だった。そんな光を用意したおぼえはない。鬼火二つは舞台でおどっている。
「きゃっ」
 とトシ子ちゃんが叫んで、その場に腰をぬかした。舞台の骸骨である清君と一郎君も、もうすこしで悲鳴をあげるところだった。すると中間の草むらのあやしい火がゆれ、草むらの中から何者とも知れず人間の形がすうっと浮かびあがった。
「きゃっ。お助け……」
 叫んだのは、そのあやしい人影だった。とたんにあやしい光が草むらに落ち、うごかなくなった。そ
前へ 次へ
全17ページ中14ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング