いうちに鉦をさっさと鳴らして、ここを出ていってしまおうと思った。
かんかん。かかーン。
鉦をうつ手がふるえて、うまく鳴らなかった。
「あっ!」
それがきっかけのように、正面にありありと二つの骸骨があらわれた。と、おどろおどろと青い鬼火が横あいからおどり出した。骸骨が手をのばした。正太の方を指さした。それから手をぐっと上へのばした。
「ううッ」
正太はがたがたふるえながら、夢中で上からさがっている縄をひいた。遠くでがらんがらんと気味のわるい音がひびくのが分った。
骸骨同士が手をつないでおどりだした。もうたくさんだ! 正太はうしろの壁へ、白墨で自分の名前をかきなぐると、脱兎《だっと》のようにくぐり戸の外へとび出した。
わっはっはっ。骸骨の笑い声が、逃げて行く正太君を追いかけた。
意外《いがい》な飛入《とびいり》
骸骨館の胆だめし大会は、大成功であった。子供たちは、こわいこわいとさわぎながらも大よろこびで、来る夜来る夜同じ遊びをくりかえした。
探検隊員の話では、鬼火が一番こわいという評判であった。骸骨が口をあーンとあくところがこわいというものもあったが、たいてい
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