そういう記事もあった。また、
“ドイツ軍の長距離砲|敢《あ》えて恐《おそ》るるに足《た》らず、われまた、更に一歩進んだ新長距離砲をもって酬《むく》いん!”
 という記事もあって、いよいよ近く英独は、ドーヴァ海峡《かいきょう》を距《へだ》てて対戦するであろうことを示唆《しさ》しているものもあった。
「そうすると、中国は、この欧州の戦局に対して、どういう役割をしているのかな」
 仏天青は、そういう疑問にぶつかった。
 そこで彼は、新聞紙をいくたびか畳《たたみ》かえして、そういう記事のある欄《らん》を探した。
“東洋”という欄が、ようやくにして、見つかった。わが中国は、安心なことに、まず、イギリス側に立っているようであった。イギリスからは、また新借款《しんしゃっかん》を許したそうであり、兵器弾薬は、更に活発に、中国へ向けて積み出されていることが分った。
「このようなイギリス側の援助をうけて、わが中国は、東洋で、ドイツ軍を迎えるのであろうか」
 彼は、また奇妙な疑問にぶつかった。
 だがむさぼるように、その先の記事を拾っていくと、終りの方に、彼を愕《おどろ》かせるに足る記事があった。
“首都 
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