ラン氏もやがて捨てられる番をまっているのじゃないか」
僕はこのところベラン氏の姿を見ないので、さては拘束《こうそく》されて発狂の三十八人組の中に入っているのに違いないと思った。
「ああベラン君のことかね。ベラン君なら、一時間ほど前から艇長に迫って、自分を直ちに本艇から地球へ戻せと駄々をこねだした。艇長は、そんなことは出来ないと突っ放ねた」
「今そんなことを持ち出すなんて、自ら火の中へとびこむようなものだ。じゃあ、ベラン氏は今はもう三十八人組の中に入れられたに違いない」
「それはどうかな。とにかくここに居たベラン夫人ミミがさっき艇長のところへ呼ばれていったが、そのままになっている」
「ミミが……。じゃあ、ベラン氏は取戻されるかもしれん」
「おれもそれを祈っているところだ」
魚戸はそういった後で、暗示を受けたようにぶるっと肩を慄《ふる》わすと、展望窓から下をのぞきこんだ。と、彼は悲鳴に似た声をあげた。
「あっ、始まっている……」
「ええっ」
僕は魚戸の横にとんでいって、欄干越しに窓の下方を見た。ああ、たしかに始まっていた。宇宙墓地の方に向って、蜿蜒《えんえん》と続いて流れ込んでいく夥
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