宇宙尖兵
海野十三
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)皇軍《こうぐん》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)仲々|頑丈《がんじょう》で
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作者より読者へ
うれしい皇軍《こうぐん》の赫々《かっかく》たる大戦果により、なんだかちかごろこの地球というものが急に狭くなって、鼻が悶《つか》えるようでいけない。これは作者だけの感じではあるまい。そこで、もっと広々としたところを見出して、思う存分羽根を伸してみたくなって、作者はここに本篇「宇宙尖兵」を書くことに決めた。
書き出してみると、宇宙はなるほど宏大《こうだい》であって、実はもっと先まで遠征するつもりでいたところ、ようやく月世界の手前までしか行けなかったのは笑止《しょうし》である。
こういう小説を書くと、またどこからか、やれ荒唐無稽《こうとうむけい》じゃ何じゃと流れ弾がとんでくることであろうが、本篇の巧拙価値はまず措き、とにかくわれわれ日本民族はもっと「科学の夢」「冒険の夢」を持たないことには、今日特に緊急とせられる民族的発展は、その必要程度にまで拡ることが出来ないと信ずるが故
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