った。
不覚
その夜の集合場所は、郊外Z九号の飛行場であった。シャルンスト会堂の前から入りこんでいる地下道を下っていくと、今いったZ九号飛行場に出る。もちろんこれは地下飛行場である。
僕は、ふらふらする足を踏みしめて、清潔に掃除の行届《ゆきとど》いている地下舗道を下りていった。すぐ改札口に出る。僕は、リーマン博士から渡された切符を見せる。
でかい腹を持った番人が、切符に鋏《はさみ》を入れて、僕に返しながら、
「はい、よろしい。一等前の十三号という自動車に乗って下さい」
という。
「十三号車とは、いい番号じゃないね」
「そうです。あまり使いたくない車ですが、今夜は一台足りないのでつい並べてしまったのですよ」
十三号車は、柩車《きゅうしゃ》のように黒い姿をして、最前列の左端に停っていた。おそろしく古い型の箱型自動車だった。
運転手が下りてきて、懐中電灯で切符を調べてから、扉をあけてくれた。乗ってみると、たしかにあまり使わない車らしく、ぷうんと黴《かび》くさかった。
車は走りだした。
遂に「非常な超冒険旅行」のスタートが切られたのであった。
超冒険旅行とは一体
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