を許されるようになった。
 それにしても、艇長リーマン博士がよくこれを許したものだと思う。もちろんイレネが僕たち記者連の鼻息の荒さを艇長に伝えて艇長を動かしたせいもあろう。
 ベラン氏だけは、ついに仲間外《なかまはず》れになった。そして残りの五名の記者は、イレネに伴《ともな》われて、はじめて展望室に足を踏み入れたのであった。
 宇宙展望室。それは暗い水族館の中を想像してもらえば幾分感じが分るであろう。
 通路は環状になっていて、手前に欄干《らんかん》があり、前が厚い硝子張《ガラスばり》の横に長い窓になっていた。通路を一巡《いちじゅん》すれば、上下相当の視角にわたって四方八方が見渡せるのであった。
 部屋の中央部は、大きな円筒型の壁になっていて、その中には何があるのか分らなかった。床はリノリューム張りであった。天井は金属板が張ってあったが、約四分の一は硝子張りになっていて、それを通して上の部屋が見えた。その硝子天井は相当厚いものであるが、展望窓のそれにくらべると比較にならないほど薄かったが、それでも一メートルはあったろう。上の部屋は、汽船でいうと船橋《ブリッジ》に相当するところであって、
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