抑えようと努めている風に見えた。
「火星においてか。われらが火星に到着するのは、今から何年後かね」
「多分二年はかかるだろうね」
「ふうん、二年後か。大分先が永いね。それまでに、われわれは、何もしないのか」
「いや、しないことはない。まず最近、月世界へ着陸するだろう」
「月世界へ着陸するって。月世界には空気がないから、僕たちは下りられないだろうね」
「それは心配ない。空気タンクを背負い、保温衣を着て下りていけばいい」
「なるほど、しかしわれらの究極の目的地は火星よりももっと遠方の空間に有るわけなんだろう。月世界へ寄って道草を喰うのはつまらんじゃないか」
「そうじゃないよ、岸君。月世界は地球に一等近い星だ。地球にとってはいわゆる隣組さ。月世界の役割は今後ますます重要になる。つまり月世界をまずわれら地球人類の手で固めておかなければ、今後の宇宙進攻はうまくいかない」
「月世界をわれら地球人類の前進基地として確保しなければならぬというのだね」
「そうだ。これは誰にも分る話さ。只、ぼんやりしていたのでは、それを思いつかないだけのことだ」
「なるほど」
僕はフランケの言葉に同意しないわけにいかな
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