定、副団長は魚戸に決定した。われわれは拍手を以て、その成立を承認した。フランケと魚戸は、真中まで出て、軽く頭を下げた。まことに几帳面《きちょうめん》なことである。
「では早速ですが、私は団長として、皆さんにお伺《うかが》いしますが、本艇に於ける生活について希望がありましたら、お申出下さい」
フランケが丁寧な口調でいった。
「リーマン博士に一刻も早く会見する機会を作ってもらいたいですなあ」
私は早速申入れた。
「はあ、そうですか。今私がお訊《たず》ねしたのは生活のことについてでしたが、リーマン博士に一刻も早く逢う件も交渉して置きましょう」
フランケは好意に充ちた顔付で、そういった。
「われわれのための私室はあるのでしょうか」
ベランが訊いた。
「それは大丈夫です。狭いながら、ちゃんと有ります。あなたがたの場合は、間の扉を開いて二室お使いになればよろしい」
「美粧院《びしょういん》みたいなものがありまして」
「ああ美粧院ですか。たしかにございます。その外《ほか》病院もありますし、産室もございます」
産室! 僕はくすくすと笑った。するとフランケが、青い目玉をこっちへ向けてぐるぐる廻
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