》てる番だった。
「じゃあ、飛行機の中か。それとも飛行艇か」
飛行機にしても飛行艇にしても、こんな大きな部屋を持っている筈はないと思うが、そうとでも訊《き》くより外ない。
「ちがうよ」
「汽船か。いや、分った、地下戦車か」
「ばかをいえ」
「じゃあ、なんだ、この乗物は……」
僕は、咽喉に引懸ったような声を出した。そのとき魚戸は、大きく両眼をむいて僕の方へ顔をよせながら、声をおさえていった。
「ロケットだ。総トン数は一万トンを越える大ロケットだ」
「えっ、ロケット?」僕の心臓は大きく鼓動をうって停った。「本当かい、それは……。で、ロケットでどこへ飛ぶのか」
「分らない。どこへ行くのか。おれは知らない。しかし一万トン級のロケットを飛ばすところから考えて、地球の上の他の地点へ行くのでないことだけは確かだと思う」
「冗談じゃないぞ」
と、僕は叫んだが、それは魚戸のいうことを否定した意味ではなかった。
二人は、急に黙ってしまった。「非常な超冒険旅行」が何であるか、その神秘な実体がようやくヴェールを透してうっすりと見え始めたのだ。ひしひしと迫り来る真実なるものの重圧下、僕たちは頭を抱えて低
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