りの蔓のようにぐるぐる巻いていて、それがときどきぬーっと長く床の上にのびて、そこらをしきりにのたうちまわる。
 こんな形の生物は、人間の畸型例にも見たことがない。怪物というよりほか、呼びようがないであろう。
 まだもう一つ気のついたことがある。
 それは真白な肢体の膚に、点々として小さい斑点がついていることだ。そういうとそばかす[#「そばかす」に傍点]みたいに聞えるが、そばかすではない。そばかすよりもずっとずっと小さい斑点で、そしていやに黒いのである。電送写真というものがあるが、あの写真を空電の多いときに受信すると、画面におびただしく小さな黒い空電斑点というものが印せられるが、どっちかというと、その空電斑点によく似ているのであった。(後で分ったことであるが、その怪物の肢体についている黒斑が、僕の第一印象のとおり、やはり本当の空電斑点であると分ったときには、さすがの僕も腰がぬけたかと思ったほど愕いた)
「あの怪物は、どうしたのですか。博士はどこからあれを持ってこられたのですか」
 僕はマカオ博士の方をふりかえって、はげしく詰問の言葉をおくった。
「おうほ、そのことそのこと」
 と、博士は
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