宇宙女囚第一号
海野十三


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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)咳《しわぶき》の声

|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)平面|走査《スキャンニング》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、底本のページと行数)
(例)そばかす[#「そばかす」に傍点]
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 イー・ペー・エル研究所に絵里子をたずねた僕は、ついに彼女に会うことができず、そのかわり普段はろくに口をきいたこともない研究所長マカオ博士に手をとられんばかりにして、その室に招じられたものである。この思いがけない博士の待遇に、僕は面くらったばかりか、なんだか変な気持さえ生じた。
「おうほ、絵里子はね、――」
 おうほと、博士独特の妙な感歎詞をなげるごとに、博士の頤髯がごそりとうごいた。
「おうほ、絵里子はね、女性にはめずらしい学究だ。君と絵里子とは結婚する約束があるそうだが、君は世界一の令夫人を迎えるわけで、世界一の名誉を得るわけだ。しかしねえ、――」
 といって博士はちょっと小首をかしげ、
「しかしねえ、絵里子を妻にした君が、家庭的にはたして幸
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