、しばらく沈思してから、
「おい君。これから君が見る怪物は、いったい何者であるか、当ててみたまえ。もし当てることができれば、この研究所をそっくり君にあげてもいいよ。つまり、いくら君が考えてもわけのわからない生物が、この小さな室に入っているんだ」
「僕はあててみますよ。なに、人間の頭脳で考えられることなら、僕にだって――」
「いや、そうはいうが、こればかりは、人間の想像力を超越している。地球ができて以来、こういう生物を見たのはわしが最初、絵里子が二番め、そして三番めが君だ」
ああ絵里子!
僕はひそかにこう考えていた。ひょっとして、僕は絵里子の死骸でもみせられるのではないかと考えていたのだ。博士は、実験の都合で、ふと彼女を殺害してしまい、その死骸を僕に見せてなんとかいいわけをするのではあるまいかと。――しかしどうやらそれはちがっていたらしい。絵里子は、その怪物とやらをみたのち、今はなにをしているのだろうか。
「愕いてはいけない。さあ、ここに反射窓がある。これをのぞけば、この室内の様子ははっきりわかる」
博士は、普通魔法鏡といわれる反射窓を指さした。僕はすぐさま決心して、指さされるまま
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