んという高い唸り音をあげて、廻転機がまわっていた。
ことと、ことと、ことと。
カムがしきりにピッチをきざんでいる。
ぴかり――と、紫色の電光が、扉の間から閃いた。じいじいじいと、放電のような音もきこえる。
それにひきかえ、マカオ博士はなにをしているのか、咳《しわぶき》の声さえ聞えてこない。
僕の心臓は、なんだか急に氷のように冷たくなったのを感じた。
ごとごとごとごとごと。そのとき博士の姿が入口にぬっと現われた。
「さあ、おはいり。だが始めから断っておくよ。どんなものを見ても、気絶なんかしちゃいけないぜ」
僕は大きくうなずいて、そんなことは平気ですと博士に合図したが、内心では恟《きょう》々としていた。これはなにかよほど意外なものが、この室内にあるらしい。いったいなにであろう。僕はおずおずと室内に足をふみいれた。
「いいかね。こっちの小さい室に入っているんだ。檻があればいいのだが、生憎そんなものはない。まさかこんな怪物がとびこもうとは、想像だにしなかったのでね」
そういって博士は、室内の一隅にある小さな扉を指さした。
(怪物? 怪物って、なんだろう)
博士は額に手をあげて
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