きにぶつかって、まっさおになった。それは、かれのからだをおさえつける怪物の腕が実に三本もあることを、このときになって発見したからである。
三本腕の怪物――人間ではない!
「き、きみは何者ですか。に、人間じゃありませんね」
ポコちゃんはもつれる舌をむりに動かしてたずねた。さて三本腕の怪物は何と答えるであろうか。
ふしぎな国
ポコちゃんは、まっさおな顔で、歯の根をがたがたいわせて、日ごろのちゃめ気《け》もどこへやら、おびえきっているが、あいての怪物は、さくら色のいい血色で、赤んぼうのように明かるい笑顔を見せて、しずかにポコちゃんのからだから手をはなした。
「ぼくのことを、きいているんですね」
怪物は、自分の顔を指さした。その指は、怪物の第三の手についている指だったから、ポコちゃんは、また息がとまりそうになった。右の手を第一、左の手を第二とするなら、のこりの一本が第三の手である。その手は、怪物の首の後からはえている腕の先についていた。その腕は左右の腕とちがい、わりあいに細く長かった。そしてゴム管《くだ》みたいにぐにゃぐにゃしていた。そのような腕の先に、第三の手がついてい
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