か」
「まさかね。でも、わけがわからないや。死んでからも夢を見るのかな。あっ、ポコちゃん、外は明かるいよ。太陽の光りだ」
 山ノ井は窓を指さした。と、かれは、びっくりした。
「あ、窓から、だれかこっちをのぞいているじゃないか」
 すると川上が答えた。
「あれは人の顔じゃないよ。花だよ」
「花? 花だろうか。なぜ花が窓の外に見えるのだろう。おいポコちゃん、窓から外を見てみようや」
 二人は、息をはずませて、窓ガラスに顔をあてた。二人は、いったい何を見たであろうか。


   怪物の顔


 窓のむこうにあったものは何か。
 それは一|言《ごん》でいうと、夢の国みたいな風景であった。人間の首の二倍もある大きなタンポポみたいな花がさいている。広い砂原が遠くまでつづき、その上に青い空がかがやいている。人かげは見えない。
「ふうん、いつのまにか着陸しているよ。どうしたというんだろうねえ、千ちゃん」
「ほんとだ、カモシカ号はもう飛行していないんだ。でもよくまあ、いのちにべつじょうがなくて着陸できたもんだね」
「千ちゃん、いったいここはどこの国だい」
「さあ、どこの国か、どこの星なんだか、けんとうが
前へ 次へ
全91ページ中43ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング