つかないね。ぜったいに地球ではない、といって月世界ともちがう……」
「いやだねえ、きみがわるいね」
「窓をあけて、よく外を見てみようや」
 山ノ井がうっかり窓をあけた。と、思いがけない大爆発が、二少年のうしろに起った。なぜそんな大爆発が起ったのか、考えるひまもない。二少年は気をうしなってしまった。
 それからどのくらいたったか、ポコちゃんの川上少年は、ふとわれにかえった。
(痛い、ああ痛い!)
 はげしい痛みが、少年をなぐりつける。と、かれの記憶がよみがえりはじめた。
(あっ、どうしたろう、カモシカ号は、爆発したようだったが……)
 そのうちに、かれはいま自分が横になって寝ているのに気がついて、びっくりした。
「おや、なぜぼくは寝ているんだろう……。おうい千ちゃん、どこにいるんだい」
 とさけびながら、目をあけようとしたが、あまりにまぶしくて目があききれなかった。
「しずかに……。しずかに……寝ていなさい。動いてはいけません」
 みょうにぼやけた声が、川上の耳にはいった。だれかが、かれのからだをおさえつけるのをふりきって上半身を起した。そのときかれは目をあけた。――そのときかれの見た異
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