う。それからもう一つ、時々ここをつきぬける、すい星があるから注意せよ。
[#地付き]新コロンブス号艇長ロゴス――
[#ここで字下げ終わり]
 山ノ井と川上とは顔を見あわせた。
「やっぱり探険家のロゴス先生だったね」
「そうだ。ロゴス先生は、がいこつ[#「がいこつ」に傍点]になってもあとから来る者のために、とおとい警告をしていてくれる。えらい人だね」
 そういっているうちに、動いているこっちのカモシカ号は、どんどん新コロンブス号から、はなれていった。二人は、それをじっと見送りながら、宇宙探険の英雄の霊《れい》のために、いのった。
 しばらくは二人ともだまっていた。がいこつ[#「がいこつ」に傍点]艇長にめぐりあったことが、ひどく胸をいためたからだった。
 そのうちに川上が声をだした。
「ねえ、千ちゃん、いったいこの重力平衡圏というところは、どんなところだろうね。もちろん地球の方へ引く重力と、月の方へひっぱる重力とが、ちょうどつりあっていて、重力がないのと同じことだとはわかっているが……」
 ポコちゃんの川上は、小さい目をくりくり動かして、そういった。
「それだけわかっていれば、それでいいじ
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