いをもよおしました。
でも、気丈夫《きじょうぶ》な操縦員はがんばって、傾いていた機をもとのようになおしました。ぐずぐずしていれば墜落したかも知れませんのを、あやういところでひきとめました。
「よろこんでください、機体は大丈夫です」
と操縦員はさけびました。
ゴムの車輪は、おもいのほか丈夫で、相手の尾翼をけとばしてへいきでありました。
そのころ塩田大尉や小浜兵曹長はやっと目まいがなおり、目をひらくことができるようになりました。
「怪塔は、どこへいった」
「あれあれ、見えないぞ」
二人は席からのりだして、上をみたり、下をみたり、
「あ、あそこにいる!」
小浜兵曹長がみつけました。
「おおいたか。どこだ」
「あれです。あそこの夕やけ雲をつきぬけて下へおちていくのが見えます」
小浜兵曹長のゆびさすところをみると、なるほど、怪塔ロケットは、その半面を夕日にてらされ、雲のかげに尾をひきながらおちていきます。そして機体はぶるんぶるんとへんに首をふっているのでありました。
5
塩田大尉は、またもや全機に命令を出して怪塔ロケットのあとを追わせました。
全機は、それこそ隼
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