こから三人の黒人がぴょこりと顔を出しました。

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 今まで怪塔の中には、怪塔王一人が住んでいるばかりだとおもっていましたが、怪塔の二階にある郵便箱ほどの円筒が三つ、いずれもその蓋《ふた》があいて、なかからおもいもかけない黒人の顔がとびだしてきました.帆村探偵や一彦がこれを見たらどんなにおどろくことでしょうか。
 円筒の中にはいっている黒人は、一体なに者でありましょうか。そしてその中で、なにをしていたのでありましょうか。
「おいジャン。先生はなにをしているのかなあ」
「うん、ケンよ。ベルがじゃんじゃん鳴って、危険をしらせているのにね」
 と二人の黒人が、心配そうにいえば、もう一人のポンという黒人が、
「塔がこわれてしまってはしようがない。じゃあ、うごかしてみるか」
 といいました。
 するとジャンとケンはびっくりして、大きな眼玉をくるくるとうごかし、
「だめだよ、だめだよ。先生がちゃんとさしずをしなければ、塔はうまくうごいてくれないよ」
「そうだ、ジャンのいうとおりだ。それよりも先生がなにをしているのか、それを早くしる方法はあるまいか」
「それはない。おれたちは、この円筒の
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