のでしょう。あと数秒で、いよいよ土をふきとばし、黒煙が天にまきあがる大爆発がおこる――と思っていましたが、ところが実際は、そうなりませんでした。まことに不思議、いつまでも爆発がおこりません。
5
怪塔の中には、「怪塔王と和睦せよ」という無電をうった帆村荘六もいるはずですし、一彦少年も一しょのはずです。それにもかかわらず爆弾を怪塔の上に落すのは、まことに気のすすまないことでしたが、帝国海軍に仇《あだ》をなす怪塔は、たとえ一日でも、一時間でもそのままにしておけませんから、それゆえ塩田大尉は、涙をふるって爆撃隊に爆弾を落すよう命じたのでありました。
その爆弾が、下にぐんぐんおちていったきりで、そのまま音沙汰《おとさた》なしになってしまったものですから、爆撃員はすっかり面くらってしまいました。
「爆弾を投下したが、爆発しない!」
と、妙な電文が、塩田大尉のところにとどきました。
「爆弾を投下したが、爆発しない――というのか。そんなばかなことがあってたまるか。なあ小浜兵曹長」
「はあ、わからんでありますな。爆弾が昼寝をしているわけでもありますまい」
爆撃機六機の落した爆弾は
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