の無線電信が、どの方角からやってくるかをしらべることにしてすぐとりかかりました」
「大いによろしい。そして無線電信のやってくる方角はわかったか」
「はい、始の電信はすぐ消えてしまいましたが、それから五分間ほどたちますと、またおなじ電信がはいってきたので、そいつを捕獲することに成功しました」
3
小浜兵曹長は、塩田大尉の前で、なおも熱心に、どうして怪電波のとんできた方角をはかったかということについて、報告をつづけています。
「塩田大尉、その方角は方向探知器の目盛《めもり》の上にあらわれました」
「どっちだ、その方角は」
と、大尉は地図をとってひろげました。
「はあ、ここが九十九里浜で、この上を、真北から五度ばかり東にかたむいた方向に直線をひいてみます」
といって、兵曹長は地図の上に赤鉛筆ですうっと線をかいた。
「この方角です」
その方角というのは千葉県の香取神宮《かとりじんぐう》のそばをとおり、茨城県にはいって霞浦《かすみがうら》と北浦との中間をぬけ、水戸の東にあたる大洗《おおあらい》海岸をつきぬけて、さらに日立鉱山から勿来関《なこそのせき》の方へつらなっていた。
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