はっ、あわてているかもしれませんね。とにかく怪塔ロケットの行方がわかりかけたのです」
「なに、怪塔ロケットの行方が――」
と、塩田大尉がびくりと太い眉《まゆ》をうごかし、
「ほう、それはうまい。しかし大利根博士は、怪塔から発射する例の怪力の正体がわからないうちは、とても怪塔の行方はわかるまいと言っていられたぞ」
「博士はそんなことを言われましたか。しかし、いま無線班は、怪塔から出していると思われる無線電信をつかまえたのです。それは非常に弱い無線電信で、しかもはじめは、たった二十秒間ほどしかきこえませんでしたが、たしかに軍艦淡路を呼んでいるのです」
「ほうほう」
と、塩田大尉は前にのりだしてきた。
「なにか信号の意味でもわかればいいと思って苦心しましたが、たしかに電文をうっているのですが、符号がきれぎれになって、よく意味がききとれません。しかし淡路の呼出符号だけは、幾度もくりかえされるので、ははあ、こっちを呼んでいるなと、わかるのです」
「うむ、それから――」
と、塩田大尉はあとを催促いたしました。
「そこで、向こうが何をいっているのかを、聞きわけることはあきらめまして、その代りそ
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