すか」
「それはやはり、怪塔の科学者が、このように軍艦の鉄板などをどんな力でとかしたか、それを調べるのが先ですな。それがわかれば、その怪力に感ずる、例えば受信機のようなものを作って飛行機にのせ、空中をとびながら、怪力の強くなる方角へとたどっていけば、きっと怪塔のあるところへ行きます」
「なるほど、それはいい方法ですね。するとこの怪力を博士に調べていただかねばなりませんが、何日ぐらいかかりますか」
「さあ、そいつはよくわからんが[#「わからんが」は底本では「わかんが」]――」といって、大利根博士は額にしばらく手をあてていましたが、
「まあ、この通風筒の鉄板などをもってかえって、できるだけ早く調を終えることにしましょう。じゃあもう帰りますよ」
「博士、もうおかえりですか」
「こんな落ちつかぬところじゃ、いい考えも出ませんよ。はい、さようなら」
そういって、大利根博士は後をふりむきもせず、すたこら帰っていきました。
2
それといれちがいに、小浜兵曹長が甲板へ飛出してきました。
「塩田大尉、一大事ですぞ」
「なんだ、小浜、お前にも似あわず、あわてているじゃないか」
「あっはっ
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