な顔をしました。
「どうも女の子は、お喋りでいけない」
 ミチ子は博士のじゃまをしたので怒られたのだなとおもい、べそをかきました。
 すると、そのときミチ子のうしろから、大きな手がちかづいて、その頭をやさしくなでました。
 ふりかえってみますと、それは塩田大尉の手でありました。


   怪塔はどこ?



     1

 ミチ子は、軍艦淡路の上で、しきりに妙なことをやって研究をしている大利根博士を、たいへんこわい人だとおもいました。
 しかし博士は、ミチ子がなにをおもおうと平気の平左《へいざ》で、なにかさかんに口のなかでぶつぶついいながら、艦内をあるきまわっていました。
 検察隊長の塩田大尉は、博士の前にすすみよって、
「大利根博士、あなたはあの怪塔ロケットが、このようなひどいことをやったのち、どこへ行ってしまったとお考えですか」
 博士は、ぎょろりと、近眼鏡のなかから眼をひからせ、
「うん、そのことなら、大体見当はついていますわい。やはり、どこか人気のないところでしょうな。海岸とか、山の中とか、そういうところですね」
「博士は、それをはっきり探しあてるにはどうすればよいとお考えで
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