やしたようなかたちをした飛行機の一種です。飛行機とちがうところは、飛行機にはプロペラがあるのに、ロケットにはそれがありません。したがってロケットにはエンジンもありません。ではどうしてこのロケットが空中を走るかと申しますと、それはロケットのお尻の方に穴があいていて、その穴からはげしくガスがふきだすのです。その勢でロケットは前へすすむのであります。
ガスはロケットの中にたくわえられています。怪塔王のつかっているガスは、QQ《キューキュー》ガスという世界のどこにも知られていない強いガスです。これはうんと冷して、固めて石膏《せっこう》のようにし、缶づめにしてあります。使うときは、その缶づめの栓《せん》をひらくと、その穴からQQガスがガス状になってはげしくしゅうしゅうとふきだすのです。冷して固めてあるわけは、そもそもロケットのようにガスがたくさん入用な乗り物では、ガス状のままでロケット内にたくわえるのでは、場所がせまくていくらもたくわえられません。そこで冷して固めて石膏のようにしておけばたいへん容積が小さくなります。たとえば部屋一杯のガスも、これを冷して固めると、耳かき一ぱいぐらいの粉末になり
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