なんであったでしょうか。
らっ、たったったっ、
らっ、たったったっ、
とにかく、それは怪塔王が起しているものにちがいありません。
一階にいた帆村探偵も一彦少年もこのものすごい物音には、胆《きも》をつぶしてしまいました。まわりの壁は、まるで金槌《かなづち》で叩いているかのように、がんがん鳴っています。足の下の床もびりびりびりと気味わるく震動いたします。
「おじさん、これはなんの音だろうね」
「さあ、よくわからないけれど、なんだか地べたの中で、さかんに爆発しているようだね」
「地震じゃないかしら」
「うん、地震とはちがうさ。怪塔王は、軍艦から砲撃されると聞いて、逃げだすつもりらしいのだ。してみればこの怪塔をなんとかうごかすつもりなのだろう」
「どんな風に動かすの」
「さあ、それは――」
といっているところへ、床が壁もろともいきなりぐぐーっともちあがりました。
と、思ううちに、またどーんと下へおちました。
二人はとてもそこに立っていられないので、腹ばいになりました。
どどーん、どどーんと室は四度、五度とあがったりさがったりしているうちに、一段と高い音をたてるとともに、ひゅーっ
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