怪塔の近くにある欅《けやき》の木の高い梢《こずえ》のうえにありました。それから下は筒になっていて、欅の木の幹の中を通り地中にはいります。すると、そこから横に曲り怪塔の方へのびています、がその曲りかどに反射鏡がありました。
怪塔が地上にのぼっても、またいまのように地下にもぐっても、怪塔の中からうまく地上の風景がのぞけるようになっています。まったく怪塔王はおそろしい発明家です。まだまだいくらでもおそろしい機械をもっています。
それをのぞいた怪塔王は、怪塔がどこにいったろうと、陸戦隊が地上をうろうろさがしまわっているのが見えたものですから、もう駄目だと思いました。
「仕方がない。惜しいけれど、逃げることにしようや」
そういって、怪塔王は、傍《かたわら》にある配電盤の上の大きなスイッチを一つ一つ入れていきました。そして最後に大きなハンドルを廻しますと、地底からおどろおどろと怪しい響が伝わってきました。そしてその響はだんだん大きくなり、やがては耳がきこえなくなるくらいはげしくなりました。
飛ぶ塔
1
とつぜん怪塔の地階におこったものすごい物音!
一体それは、
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