、ここまで下りてきたらどうだ」
と、帆村探偵がやりかえしました。
「ふふふふ、なにをいっとるか、この青二才奴《あおにさいめ》が。しかし貴様は、塔が地面の中にもぐったことをいいあてたのは感心じゃといっておくぞ。しかし、この塔の威力はたったそれだけのことではないぞ。こいつは貴様も知るまいがな。いや、なにかといううちに、貴様たちを片づけるのが遅くなったわい。どれそろそろとりかかるとしよう」
気味のわるいことをいって、怪塔王の声はぷつりと切れました。
「おじさん、怪塔王が僕たちせ片づけるってどんなことをするの」
と、一彦は心配そうに聞きました。
「なあに、たいしたことはないよ。おじさんだって男一匹だ。そうむざむざ殺されてたまるものか」
といっているところへ、いつ現れたか二人の背後に、怪塔王がすっくと立っていました。
「わっはっはっ、もう二人とも、死ぬ覚悟はついたかな」
「なにを――」
と、帆村はふりむきざま、たくみにピストルの引金をひき、ぱんぱんと怪塔王をねらいうちしましたが、例の強い防弾力がきいていると見え、一向《いっこう》怪塔王にはあたりません。
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「うふふふ、わ
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