あそこを調べにいった帆村探偵は一体どうなったのだろう」
4
九十九里浜に立っていた怪塔が、わずか一夜のうちに、かげも形もなくなってしまったというのですから、これには塩田大尉もすっかりおどろいてしまいました。
「これはすぐ偵察しなきゃならない。兵曹長、すぐ陸戦隊を用意しろ」
兵曹長は、はっと挙手の敬礼をして駈けだしました。やがて集合を命ずる号笛《ごうてき》の音が、ぴぴーぃと聞えました。
やがて一隊の陸戦隊員が、白いゲートル姿もりりしく、甲板へかけあがって来ました。
「気をつけ、番号!」
銃剣をしっかり握って、水兵さんたちはさっと整列しました。
塩田大尉はその前に進み出て、
「これから上陸して偵察任務を行う。場合によれば戦闘をするからその覚悟でいけ」
戦闘?
水兵さんたちは戦闘ときいて、心の中で、
(しめた!)
と、思いました。こんな内地で戦闘があるとはもっけの幸いです。大いに奮戦して、突いて突いて、突きまくろうと決心しました。しかし敵は何者でありましょう。塩田大尉はそのことにつき一言もいわれませんでした。
陸戦隊は、すぐさまボートを下しました。そしてそれに
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