ぱった汐吹《しおふき》の顔ではありません。その汐吹のマスクをとったあとに現れた西洋人の顔! 今の今まで、それは怪塔王の素顔だとばかり思っていましたのに、帆村が拾ったマスクは、ふしぎにもその西洋人の顔だったではありませんか。
「なんというふしぎだ。これが怪塔王の素顔でないとしたら、一体怪塔王のほんとうの素顔は、どんなのであろうか?」
 帆村は一時、頭のなかがみだれて、ぼんやりとしていました。しばらくたって、彼はやっとおそろしい事実に気がついたのです。
「そうだ、わかったぞ。怪塔王のほんとうの素顔というのは――」と、その先をいうのがおそろしくて、帆村はおもわずここでつばをのみこみましたが、
「――ほんとうの素顔というのは、あの大利根博士なのだ。大利根博士が、いくつものマスクをつけて、怪塔王になりきっていたのだ。では、あの憎むべき怪塔王の正体は、意外にも大利根博士だったのだ」

     5

 意外も意外です。
 怪塔王の正体をあらってみれば、大利根博士だということになりました。
 帆村探偵は、理屈のうえではたしかにそうなるから間違《まちがい》ないと信じながらも、あまりに事の意外なのに、夢
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