博士です。帆村探偵は、夢から覚めたように、おどろきました。
そういえば、この大利根博士という人物が、怪塔王のおちた岩の割れ目から入れかわりに出てきたのが変です。いや、それだけではありません、帆村探偵が声をかけたときの、あのへどもどした返事のしかたは、どうも怪しい。
(さあ、この大利根博士は、ただ者ではないぞ。これはたいへんなことになった)
博士の話によると、怪塔王は岩礁の上におちたというのに、血も流れていません。渦を巻く海水の中を見ましたが、怪塔王の死体も見えなければ、その持物も何一つ浮いていないではありませんか。
怪塔王が死んだと思ったのは、あの岩の割れ目から、この洞穴の中へ墜落したことと、それから間もなく起った悲鳴でありました。今のところ、それ以上、怪塔王の死をものがたるたしかな証拠はないのです。
(これは油断がならないぞ。下手《へた》をすれば、怪塔王は、まだその辺に生きている! その上、この怪しい大利根博士だ。そして場所は、勝手もわからぬものすごい洞穴の中だ!)
さすがは帆村探偵です。すぐれた推理をたてて、ついに自分の背後にせまる大危険を察したのでありました。
(これから
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