つきあたったとすると、もし、はずみをくらって、更に潮の流へとびこんだものとすると、どうしても岩礁の向こうにおちるはずです。それが左におちたとは、ふしぎなこともあればあるものです。
 つぎに帆村は、大利根博士に頼んで、魚油灯をかしてもらいました。そして岩礁の上をそれで照らしてみました。帆村の考では、岩礁の上に、怪塔王が体をうちあてたときには、きっと血を流したことであろうとおもいました。その血が見つかるといいと思ったのです。
 しかし、ふしぎにも、血らしいものは、岩礁の上に見あたりません。そうかといって、潮が洗い去ったようでもありません。
 帆村は、小首をかたむけました。
(はてな、これは変だぞ!)
 帆村は、ふしぎなかずかずの疑問を大利根博士にたずねようかと思いました。――が、待てしばし!
(どうも、この大利根博士というのが、不思議な人物だぞ。はて、一体どうしたというわけだろう)
 帆村は、ようやくそのことについて思いあたりました。そう思って、前からのことを思いかえしてみると、怪しいふしぶしがたくさん出てきます。
(これは油断がならないぞ)

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 油断のならない洞穴の大利根
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