、どうしよう?)
探偵が、ぎくりとして、今後のことを考えたその瞬間でした。
ぷすーっ。
妙な低い爆発音が、帆村のすぐうしろで聞えました。
「あっ――」
と思って、帆村がふりかえってみますと、いま音のした岩の上から、黄いろい煙がもうもうと立っているではありませんか。とたんに、一種異様の悪臭《あくしゅう》が、鼻をつきました。あ、毒ガスです!
5
大利根博士は、煙の中に平気で立っています。その顔には、いつどこからとりだしたのかガスマスクがはまっています。
「ああっ――」
帆村探偵は、のどに、目に、はげしい痛みをおぼえて、両手でめちゃくちゃにかきむしりました。
卑怯な毒ガス攻撃です。
いまさら卑怯だといってもはじまりませんが、大利根博士から毒ガスのごちそうをうけようとは、今の今まで思っておりませんでした。
「ふふふふ。どうだ、苦しいか」
マスクの下からひびいてくるその声!
「あっ、貴様は怪塔王だな。こほん、こほん、こほん――」
帆村は、岩の上にたおれて、はげしく咳《せき》をします。貴様は怪塔王だなと叫んだその声は、まるでのどをやぶって出てきたような細いしゃがれ
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