ねあがり、ざんぶと水中におちたのだ.あそこは、とても逃げられるようなところではない。尖《とが》った岩の間を縫《ぬ》って、冷たいまっくろな海水が、渦をまいて行ったり来たりしている。この世の地獄みたいな洞穴なんだ。怪塔王とて、とても助りっこはないのだ」
博士は、怪塔王の死をかたく信じている。
帆村探偵は、大きくうなずき、
「なるほど、そこに見える岩の割れ目のむこうは、そういう恐しいところなのですか。しかし悪運つよい怪塔王のことですから、ひょっとするとふしぎに一命を助っていないものでもありません。これから僕は谷底へ下りて、怪塔王の死体が浮いていないか、調べてみます」
滑《すべ》る断崖《だんがい》
1
帆村探偵は、あくまで怪塔王の死をつきとめる決心でありました。いま大利根博士の語ったところによると、怪塔王は岩の上に落ちて体をひどくうち、それからまっくろな海水が渦をまいている淵《ふち》へおちたといいますが、帆村は、一応どうしても自分でしらべる気です。
「大利根博士、では、案内してくださいませんか」
「そうだね、わしはひどくつかれているのだが――」
と博士は口ご
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