う。君たちに救われるとはなんという幸運だろう」
博士は、ことばすくなにこたえました。
「大利根博士、僕はもうすこしで貴方《あなた》にとびかかるところでしたよ。なぜって、博士はさっき怪塔王のおちたその岩の割れ目から出てこられたものですから、僕はてっきり怪塔王が息をふきかえし、匐いだしたことと早合点したのです。ほんとにあぶないところでした」
「うん、こっちも驚いたよ。いきなり君に声をかけられたのでね」
そこで帆村探偵は、言葉をあらため、
「博士、貴方は今までどこに起伏《おきふし》していらっしゃったのですか」
と尋ねた。
「うん、それはその、何だよ。君も知っているだろうとおもうが、われわれが今立っているところの下に、海底牢獄がある。それは皆で五つ六つあるそうだが、その一つに押しこめられていたのだ。そこを何とかして逃げたいといろいろ計略をめぐらした結果、やっと今日は逃げだすことができたのだ。こんなにうれしいことはない」
「そうでしょうとも。お察しします。博士が無事だということが内地に知れわたると、皆びっくりすることでしょう。そしてどんなによろこぶかしれません」
それを聞くと、博士はほっ
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