水のうちよせてくる洞穴があるらしくおもわれます。帆村は、まだそのような洞穴の在所《ありか》を知りませんでした。
 ばさばさばさばさ。
 急に、はげしい羽ばたきが頭の上に聞えて、怪鳥がとびこんできました。
「おや」
 帆村は、びっくりして立ちあがりました。こんどは怪鳥がびっくりして、またばさばさばさと羽ばたきをして、向こうへにげていきました。
 怪鳥は、怪塔王が身をなげた岩の割れ目へとびこみましたが、しばらくすると、「けけけけ」と、聞くのもぞっとするような啼声《なきごえ》をたてて、また帆村のいる方へ、とびもどってまいりました。
(どうも様子が変だぞ。油断はできない)
 と、帆村ははっと身を起して、岩かげに身をひそめました。
 すると、どうでしょう。岩の割れ目が、ぼーっと明かるくなって来ました。なんだか向こうで火が燃えているようです。はてな?

     2

 岩の割れ目の向こうが明かるくなったのは、なぜでしょうか。
 帆村探偵は、岩かげに身をひそめ、目ばたきもせず、その方を見つめていました。
 すると、やがて岩の割れ目から、手提灯《てぢょうちん》が一つ現れました。それは、西洋の漁夫など
前へ 次へ
全352ページ中305ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング