水のうちよせてくる洞穴があるらしくおもわれます。帆村は、まだそのような洞穴の在所《ありか》を知りませんでした。
ばさばさばさばさ。
急に、はげしい羽ばたきが頭の上に聞えて、怪鳥がとびこんできました。
「おや」
帆村は、びっくりして立ちあがりました。こんどは怪鳥がびっくりして、またばさばさばさと羽ばたきをして、向こうへにげていきました。
怪鳥は、怪塔王が身をなげた岩の割れ目へとびこみましたが、しばらくすると、「けけけけ」と、聞くのもぞっとするような啼声《なきごえ》をたてて、また帆村のいる方へ、とびもどってまいりました。
(どうも様子が変だぞ。油断はできない)
と、帆村ははっと身を起して、岩かげに身をひそめました。
すると、どうでしょう。岩の割れ目が、ぼーっと明かるくなって来ました。なんだか向こうで火が燃えているようです。はてな?
2
岩の割れ目の向こうが明かるくなったのは、なぜでしょうか。
帆村探偵は、岩かげに身をひそめ、目ばたきもせず、その方を見つめていました。
すると、やがて岩の割れ目から、手提灯《てぢょうちん》が一つ現れました。それは、西洋の漁夫など
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