たくない」
 そういって、きっと口を結んでしまいました。この若い西洋人は、発明狂ででもありましょうか。その生《お》いたちこそ、ぜひしらべてみたいくらいの、じつに興味ふかいものでありました。
 さっきから口を閉じたまま、呆然《ぼうぜん》と怪塔王の素顔に見入っていた帆村は、このとき、つと一歩すすみますと、
「おい怪塔王、僕は、じつをいうと、怪塔王とは大利根博士の化けたのではないかとおもっていた。しかるに、マスクをとったところを見て、僕の考《かんがえ》がちがっていたことがはっきりわかった」
 といって、帆村はちょっと唇を噛んで、
「――で、僕はここに、怪塔王からぜひとも返答をもとめたい一事がある」
「えっ、それは何じゃ」
「それは大利根博士の行方だ。博士はいま、どこに居られるか、すぐそれを教えたまえ」
「そんなことは知らん」
「知らんとはいわせない。怪塔王が博士邸へ押入ったことはわかっているんだぞ。博士の上着が遺《のこ》され、それに血が一ぱいついていたこともわかっている。大科学者を、君はどこへ連れていったのか。博士はまだ生きているのか、それとも君が殺したか。それを知らないとはいわせないぞ」

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