一つではどうすることもできません。
「おい怪塔王、もうこのへんで男らしく降参しろ」
と小浜兵曹長は、破鐘《われがね》のような声で、怪塔王をやっつけました。
怪塔王は、きっと顔をあげましたが、そのまま言葉もなく首を垂《た》れました。
素顔
1
「もうだめだ」
怪塔王のため息は、帆村にも小浜兵曹長にも、聞えすぎるほどはっきり聞えました。怪塔王は気の毒なほど、悄気《しょげ》ているようです。
「おい、マスクをとれ」
帆村探偵が、さいそくしました。
「よし、いまとる。もうこうなっては、諸君の命令にしたがうばかりだ」
と、怪塔王は日頃に似あわぬおとなしいことをいって、両手を顔にかけました。
ああいまこそ怪塔王のマスクがとられるのです。人をばかにしたようなおどけた汐ふきのマスクの下にある顔は、一体どんな顔であろうかと、帆村探偵と小浜兵曹長とは、非常に胸がおどるのを覚えますとともに、また一方において、たいへん気味わるくもおもいました。
怪塔王は、マスクを無造作にぬぎました。防毒面をぬぐのと同じように、顔面全体と頭髪とが、すぽりととれたのです。
さあ、そのマス
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