くいですが、只今あたりを見まわしましたところ、空中を飛んでいるロケットは、わが一機だけであります」
「えっ、お前の一機だけか。そして他のロケットはどこにいるのか」
「それがその、さきほどからの戦闘中、あべこべ砲にやられまして、いずれもみな火焔につつまれて海面へ落ちていき、それっきりふたたび浮かびあがってまいりません」
「な、なんじゃ。それではあとは全部、日本軍のためにやっつけられたのか。そ、それはあまりひどすぎる! あれだけのロケット隊をつくるのに、どんなに苦労したことか。それが、かねてわしの狙っていた日本の武力を、根こそぎ壊すのに役立つどころか、今迄に軍艦|淡路《あわじ》と十数機の飛行機を壊しただけで、もうこっちがあべこべにやっつけられてしまった。ああ残念だ。なんという弱い同志たち! なんというおそろしいあべこべ砲! わしは失敗した。あべこべ砲の始末を十分につけないで、放っておいたのが、誤《あやまり》だった。だが、まさか、あの秘密室まで日本軍がはいって来るとはおもっていなかったのだ」
怪塔王は、赤くなったり青くなったりして、じだんだふんでくやしがりました。しかし、残るロケットがただ
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