があるのです」
「大利根博士といえば、塩田大尉がよくいっていられた国宝的科学者のことかね。大利根博士が怪塔王に化けているというのかね。いや、俺には、なんだかさっぱりわからないよ」
「いや、大利根博士だから、僕たちの前でマスクをとられたくないのですよ。どうだ図星だろう、怪塔王!」
 と帆村は、怪塔王の顔に指をさしました。
「いや、私は大利根博士ではない」
 怪塔王がいいました。
「博士ではないというのか、いや博士にちがいない。とにかくマスクをとるんだ。命令だから、マスクをはずせ!」
「やむを得ん。ではマスクをはずすぞ」
 どうしたものか、怪塔王は案外すなおに帆村のいうことを聞きました。そして、彼は両手を顔にかけました。
 そのとき、警報ベルがけたたましく鳴りだしました。
「あ、怪塔王、あれは何だ」
「ロケット隊からの戦況報告だ。ちょっと私を送話器のところへ出してくれ」
「いや、いかん! うごけば、殺人光線灯をかけるぞ」
 小浜兵曹長はどなりました。
「おい、マスクを早くとらんか」
 と、これは帆村の声です。
 そのとき警報ベルが鳴りやむと同時に、高声器から、戦闘中のロケット隊長からの声が
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