すると、そのとき、
「あっはっはっはっ」と、無遠慮に大きな声で笑う者がありました。

     5

「誰だ。大声をあげて笑うのは。お前たちの頼みに思う怪塔王は、こうして今、俺の傍に生捕《いけどり》になっているんだぞ」
 小浜兵曹長は、たしなめるように、大きな笑い声の主へ、注意をあたえました。
「あっはっはっはっ」
 と、その声は、またおかしくてたまらないといった風に笑い、
「なにを大きなことをいっているか。貴様はそこに怪塔王を捕えているつもりで、よろこんでいるのだろう」
「なにをいっているか」
 兵曹長はどなりかえしました。
「貴様こそ、なにをいっているか、だ。貴様の捕えているのが、怪塔王か怪塔王でないか、そのお面をとってみれば、すぐわかるだろう。あっはっはっはっはっ」
「ええっ――」
 お面を取れといわれて、兵曹長はびっくりしました。そしてやっと或《ある》ことに気がつきました。
 こうなっては、早く本当のことを知らねばなりません。兵曹長は、生捕にした怪塔王の顔を見つめました。見ていますと、別にお面をかぶっているようにも見えませんでしたが、念のためと思って、怪塔王の顔に手をかけ、え
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