という間もなく、兵曹長はどーんと砂原の上に、もんどりうって投げだされました。
「しまった」
兵曹長も、さる者です。砂原の上にたたきつけられるが早いか、すっくと立ちあがりました。そして踵《くびす》をかえすと、弾丸のように、怪塔王の胸もと目がけてとびつきました。
「なにを!」
「うーむ」
小浜兵曹長と怪塔王とは、たがいに真正面から組みつき、まるで横綱と大関の相撲《すもう》のようになりました。
小浜兵曹長は力自慢でしたが、怪塔王もたいへんに強いので、油断はなりません。
えいえいともみあっているうちに、兵曹長は得意の投《なげ》の手をかける隙をみつけました。ここぞとばかり、
「えい!」
と大喝一声、怪塔王の大きい体を砂原の上にどーんとなげだしました。
怪塔王は、俵を転がすように、ごろごろと転がっていましたが、やっと砂原の上に起きなおったところをみると、いつの間にか右手に、妙な形のピストル様のものを持っていました。兵曹長は、はっと立ちすくみました。
2
「さあ、寄ってみろ。撃つぞ」
怪塔王は、砂原の上に、妙な形のピストルを手にして、小浜兵曹長の胸もとを狙っています。
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