帆村は、持って来た綱を、くるくるとまき、束にすると、それを肩にかついで、先に立ちました。横穴はかなり長く向こうへつづいています。
帆村と小浜の両人は、膝《ひざ》がしらが痛んで腫れあがるほど、一生けんめいに匐いました。
横穴はいくたびも曲りましたが、やがてついに尽きて、その代りにぽっかり洞穴に出ました。小浜兵曹長は、やっと腰をのばして、やれやれと背のびをしました。かなり広い洞穴です。じめじめしているのは、やはり海近いことをものがたっているのだと思われました。帆村は先に立って、岩をしきりに押しています。
3
帆村は、しきりに岩を押していましたが、そのうちに、ぽっかり穴があきました。とたんに、黄いろい光がすうっとはいってきました。
「小浜さん。ここが海底牢獄の秘密の出入口なのです。さあここから出ていきましょう」
「やあ、まるで冒険小説をよんでいるような気がするなあ。さあ、君のいくところへなら、どこへでもついていくよ」
「ええ、あまり大きな声をしないで、ついてきてください」
二人は秘密の出入口を出ました。外は明かるいお月夜でありました。くもりない濃い紺色の夜空には、銀のお
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