す。それよりも、すぐここを逃げてください」
2
「すぐ逃げろというのかね」
と、小浜兵曹長は帆村の顔を見つめ、
「いや、僕は逃げないぞ。怪塔王と一騎うちをやって、生捕《いけどり》にしてやるんだ。あいつは悪い奴だ。わが海軍に仇をするばかりか、俺の大事な部下の青江を殺しやがった。ここまで来れば、俺は命をかけて、怪塔王をとっちめてやるんだ」
小浜兵曹長には、青江三空曹の死が、どんなにか無念であったのでしょう。
「いや、待って下さい。怪塔王をやっつけるには時期があります。とにかく今夜、あらためて僕たちは会いましょう。こうしているうちにも、もし怪塔王がテレビ鏡をのぞけば、あなたの姿も僕の姿も、すっかり見られてしまうんです。見られたら最後、僕たちは殺されてしまいます。さあ、ぐずぐずしないで一刻も早く、ここを逃げて下さい」
帆村は一生懸命に、小浜兵曹長に脱走することをすすめました。
「そうか。そういうことなら、残念ながら、ひとまずここを逃げよう。どっちへ逃げるのかね」
小浜兵曹長は、おさまらぬ胸をやっとおさえました。
「わかってくれましたね。さあ、こっちへついて来て下さい」
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