盆のように光ったまんまるい月があがっていました。
「ああ、いい月だ。白骨島にも、こんなにうつくしい月が、光をなげかけるのかなあ」
 今までは、どこまでも強いばかりの小浜兵曹長だとばかり思っていましたのに、彼は月をみてこんなやさしいことをいいました。本当の勇士は、強いばかりではなく、また一面には、このようにやさしい気持をもっているものです。
 帆村の方は、そんなゆっくりした気持になれません。もしこんなことをしていることを怪塔王や見張番にみつかっては、それっきりです。ですから、兵曹長をはやくはやくとせきたてて、すぐ前を走っている塹壕《ざんごう》のような凹《へこ》んだ道を、先にたってかけだしました。
「どこへいくのかね」
 小浜兵曹長も、おくれてはならぬと帆村のあとを追って、どんどんついていきました。
 凹んだ道は、かなり曲り曲って、小高い丘の方へつづいていましたが、そこをのぼりきったところに、小さい煉瓦建《れんがだて》の番小屋のようなものがありました。
「さあ、ここへはいってください」
 帆村にせきたてられて、兵曹長が中にはいってみますと、室内は四畳半ぐらいのひろさで、中には藁《わら》が山
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