広さの床をもっていました。そこから上は、まっすぐに円筒形の黒い壁になっていました。
「ふん、怪塔王が好きらしい造りの牢獄だ」
 その黒い壁に、もしや上にのぼれる梯子《はしご》のようなものでもあるかと思いましたから、よく気をつけて眺めました。しかしそのような足掛《あしがか》りになるものは何一つとてなく、全くつるつるした壁でありました。
 その時、小浜兵曹長の頭に、ちらりとひらめいた疑問がありました。
「なぜ、今頃になって、天井の青い電灯がついたのだろうか」
 これはなにか、小浜兵曹長に対し、上からピストルでもうちかけるのではないかと思われました。そこで彼は身動きもせず、じっと天井の方に油断なく気をくばっていました。
 その時でありました。
「はっはっはっはっ」
 と、とつぜん破鐘《われがね》のような笑い声が、頭の上から響いて来ました。
 兵曹長は、はっと息をのみました。
「はっはっはっはっ。ふふん、やっぱり貴様だったのか。わしのロケットを執念ぶかくどこまでも追いかけて来た飛行機のりだな。なんだ、変な顔をするな。ははあ、わしがどこから見ているかわからんので、びっくりしているのだろう。あはは
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