、機上にあおむけに叩きつけ、あるいはまた得意の腰投で投げとばし、荒れ獅子《じし》のようにあばれまわりました。
 兵曹長をおそった怪人たちも、このものすごい兵曹長の力闘に、すこしひるんでみえました。そして砂上に、遠まきにして、兵曹長をにらんで立っています。
 小浜兵曹長は、はじめてこの不意うちの敵をずらりとみまわしました。
 敵の人数は十四五人もありました。兵曹長一人の相手としてはずいぶんたくさんの人数です。
「な、何者だ。俺をどうしようというのか」
 小浜兵曹長は、ひるむ気色もなく、敵に対してどなりつけました。
「う、ううっ」
 と、呻《うな》っている敵方の面々は、黒人があるかと思うと、ロシヤ人がよく着ているルパシカという妙な上衣《うわぎ》をきている者もあります。このルパシカをきているのは、白人のようでありました。
 そのうちの一人の白人が、たっしゃな日本語でもってしゃべりだしました。
「アナタは、向こうの山へのぼって、下になにがあるか、ことごとく見たでしょう。白状なさい」
 言葉はたいへんていねいですが、敵の身構《みがまえ》はたいへんものすごいです。多分彼は、こういうていねいな日本語
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