た。
「これでは、まるでロビンソン=クルーソーだ。どうか山の向こうに、一軒でもいいから人間の住んでいる家がありますように」
ロビンソン=クルーソーは、有名な漂流物語の主人公ですね。
小浜兵曹長は、いよいよのこぎり山の頂上を、すぐ目の前に見るようになりました。
「さあ、いよいよ向こうが見えるぞ。はやくのぼってしまおう」
兵曹長の足どりは、急にかるくなりました。やっとかけごえをかけ、のこぎり山の頂上の岩の間から、向こうをひょいとながめました。
そのときの兵曹長のおどろいた顔ったら、ありませんでした。
「やややややっ、これはたいへんだ。まさか夢を見ているのじゃあるまいな」
兵曹長は、岩の上に、へなへなと腰をおろしました。あまり思いもかけない風景に、さすがの猛兵曹長も胆《きも》をつぶしたようです。
山の向こうには、一体どんな風景があったでありましょうか。
おどろいてはいけません。山の向こうは、まっ平になっていまして、怪塔ロケットが七つ八つも、まるで筍《たけのこ》のように地上に生え並んでいるのです。
4
山の向こうは、たぶんひろびろとした海岸であって、白い砂浜を、ま
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